【2級ガソリン解説】令和7年度第1回 [問題26 スキャンツール(外部診断機)]実施日:令和7年10月5日
分かりやすくお伝えするため、要約により構成しています。
覚えやすさを優先しているため、独自の解釈があったり言葉足らずの部分もあるかと思いますが、試験に合格することを第一の目標としているためご理解ください。
正式な試験問題と解答は、日本自動車整備振興会連合会のホームぺージよりご確認ください。
【問題】
スキャンツールについての問題です。
間違っている記述を選択します。
(1)作業サポートに関する記述
(2)ダイアグノーシスに関する記述
(3)フリーズ・フレーム・データに関する記述
(4)データ・モニタに関する記述
スキャンツールの基本機能についての問題です。
以下の内容を理解しておきましょう。
(1)、(2)、(3)、(4)共通
- ダイアグノーシス確認・消去
- ECUデータ・モニタ確認
- フリーズ・フレーム・データ(FFD)確認
- アクティブ・テスト
- 作業サポート
それぞれ説明していきます。
自己診断機能のことで、センサやアクチュエータに異常が発生したとき、ECUがその異常を検知・記憶する機能です。
異常状態を表す個別のコードは“ダイアグノーシス・コード”と呼ばれ、1つのアルファベットと複数の数字で構成されており、部品や系統ごとに分類されています。
コード例:P0123 [水温センサ断線]
【ダイアグノーシス・コードの系統分類】
P:パワー・トレイン系統(エンジン、トランス・ミッションなど)
C:シャシ系統(ABS、パワー・ステアリングなど)
B:ボディ電装系統(SRS、パワー・ウインドーなど)
U:ネットワーク系統(CAN通信など)
ダイアグノーシス・コードを記憶している場合、不具合箇所の絞り込みに大変有効です。
現在の車両のトラブル診断は、まずダイアグノーシス確認から始まります。
修理後などにはダイアグノーシス・コードを消去する必要がありますので、消去作業もスキャンツールで行います。
消去操作を行うと、ダイアグノーシス・コードとフリーズ・フレーム・データが消去されますが、バッテリを外すわけではないので、時計やラジオの再設定などは必要ありません。
電子制御部品を動かす流れは、センサ→ECU→アクチュエータとなっており、人間に当てはめるとセンサは目や耳、ECUは頭脳、アクチュエータは手や足のようなイメージです。
例えば、ドアを開ける動作だと、
- “目”でドアノブの位置や鍵の状態を確認。【センサ】
- 「手で開ける」「手を前に出す」など、頭で考える。【ECU】
- “手”で鍵を開けドアノブを握ってドアを開ける。【アクチュエータ】
電子制御装置も同じように、水温を検出して冷却ファンを回すなどの動作を一連の流れで行っています。
ECUには様々なセンサから信号が入力され、プログラムを演算処理したあと、アクチュエータに作動信号を出力しています。
入力や出力の信号(データ)を確認する(モニタ)ことを“データ・モニタ”と言います。
生データやライブ・データ確認などと呼ばれることもあります。
入力データ表示例:水温センサ温度 90℃
出力データ表示例:冷却ファン作動信号 ON(12V出力時にON表示)
これらを確認することで、不具合原因の診断を効率よく進めることができます。
ダイアグノーシスを記憶した瞬間、またはその前後のECUデータのことです。フリーズ・データや頭文字をとってFFDとも呼ばれます。
使いどころとしては、ダイアグノーシス・コードは記憶しているけど、現在は不具合が発生していない場合などです。
ダイアグノーシス・コードを記憶していても、中には一時的な不具合や数日に一度など、診断する時点で正常な車両もあります。
その状態のECUデータを確認しても正常なデータしか表示されませんので、異常が発生したときのECUデータを確認することで故障原因にたどり着けることがあります。
フリーズ・フレーム・データは、ダイアグノーシス・コードにくっついて記憶されているため、ダイアグノーシス・コードを消去すると同時に消えてしまいます。
そのため、ダイアグノーシス・コードを消去する前に確認することが重要です。
本来の作動条件じゃなくてもアクチュエータを動かすことができる機能で、作動や機能の点検を行うことができます。
例えばパワー・ウインドーが動かない場合、不具合箇所として考えられるのは、[パワー・ウインドー・モータ、スイッチ、配線、ECU、機械的な作動部分]と複数の箇所があります。
そこで、モータが正常に作動するかを確認するためには、バッテリ電源を直接モータへ接続します。
しかし、モータへアクセスするためには内張りを外す作業が必要になるため、ECUの代わりにスキャンツールからモータへ作動信号を出力することで、作業の効率化が図れます。
車両の年式や装置によって、対応・非対応など様々ありますが、状況に合わせて使いこなすことで、作業効率が上がることは事実です。
バッテリ交換後のデータ・リセットや電子制御装置のアイドリング学習など、部品を交換したときなどに必要になる作業を、電源を遮断することなくスキャンツールで行うことができます。
ECUが学習している数値をクリアする場合は、バッテリの電源を遮断しないとできないような作業もあります。
電源を遮断してしまうと時計やラジオの再設定が必要になるため、作業サポート機能を活用することで作業効率が上がります。
また、スキャンツールでしか行えない設定作業も多く、現在の整備はスキャンツールが必要不可欠になりつつあります。
【正解】(1)
電子制御装置が満載の現在は、スキャンツールがないと診断が不可能というケースが増えています。
その中でも、フリーズ・フレーム・データが見れないと詰み。という事例が、“ハイブリッド・バッテリ異常”のトラブルです。
ハイブリッド・バッテリは消耗品のため、一定以上劣化したときにはECUがダイアグノーシス・コードを記憶し、車両を退避走行モードにします。
バッテリ異常のダイアグノーシス・コードが発生したときに考えられる原因は2つ。
『バッテリ本体』『バッテリの電圧を見ているセンサ』のどちらかです。
過去の事例では、バッテリ本体の不具合が圧倒的に多いのですが、電圧センサではないという確たる裏付けがないと交換には踏み切れません。
しかし、バッテリの特性上、悪くなったらなりっぱなしではなく、少し時間が経過すると正常値に戻り、数日後や数週間後に再び異常な値になることが多いです。
そうすると、はじめにダイアグノーシス・コードを記憶し異常な状態になったあと、入庫したときには正常になっているパターンがあります。
そのときの車両の状態は、“ダイアグノーシス・コードは記憶しているけど、ECUデータは正常”です。
その状態で、ECUデータとどれだけにらめっこしても、2つの原因のどちらかを絞り込むことはできません。
そこで、フリーズ・フレーム・データを使います。
ダイアグノーシス・コードを検出した時点のデータを確認することで、バッテリ本体なのか電圧センサの不具合なのかを確実に切り分けることができます。
そのため、「とりあえずコードを消して再発するか様子を見るか?」と、安易にダイアグノーシス・コードを消去してしまうと、フリーズ・フレーム・データも同時に消えてしまうので、次に症状が出るまで“診断不能”の状態に陥ってしまいます。
コード消去の前には、スキャンツールにデータを保存するなどして診断ができる状態を作ることが超重要です。
