2級ガソリン

【2級ガソリン】令和7年度第1回 実施日:令和7年10月5日

hanabi

分かりやすくお伝えするため、要約により構成しています。

覚えやすさを優先しているため、独自の解釈があったり言葉足らずの部分もあるかと思いますが、試験に合格することを第一の目標としているためご理解ください。

正式な試験問題と解答は、日本自動車整備振興会連合会のホームぺージよりご確認ください。

No.1~15

No.1

【問題】
コンロッド・ベアリングに関する基礎知識についての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)ベアリングに求められる性質に関する記述
(2)アルミニウム合金メタルの錫の含有量と熱膨張、オイル・クリアランスに関する記述
(3)クラッシュ・ハイトに関する記述
(4)トリメタル(三層メタル)の材質に関する記述

【解説】
(1)について

コンロッド・ベアリングとは、コンロッドに取り付けられるベアリングのことで、コンロッドとクランク・シャフトのクランク・ピン部分の間に入ります。

ベアリング

コンロッド・ベアリングに求められる性質は、主に以下の5つです。

  • 非焼き付き性:ベアリングとクランク・ピンに金属接触が起きた場合、ベアリングが焼き付きにくい性質。
  • なじみ性:ベアリングをクランク・ピンに組んだとき、すぐにクランク・ピンになじむ性質。
  • 埋没性:異物などをベアリング表面に埋め込むことにより、クランク・ピンに傷を付けにくい性質。
  • 耐食性:酸などにより腐食されにくい性質。
  • 耐疲労性:繰り返し負担がかかっても疲労が少なく、ベアリングとしての仕事を続けられる性質。
覚え方のポイント

〇〇性の言葉を、そのまま性質の説明に当てはめて考えます。
上記マーカー部分を要点として覚えましょう。

(2)について

アルミニウム合金に含まれている錫(すず)。
錫の含有率が高い(錫がたくさん入っている)と、摩耗しづらい一方で熱膨張が大きくなります。
熱膨張とは、熱が加わったときに膨張する性質のこと。

熱膨張が大きくなるということは、膨張したときのことを見越してオイル・クリアランス(上図参照)を大きくしておく必要があります。

覚え方のポイント

錫の含有率が高い=熱膨張が大きい=オイル・クリアランスを大きく。
高い・大きいと、言葉が続くので覚えやすいです。

(3)について

まず、クラッシュ・ハイトとは、“締め代”のこと。
コンロッド・ベアリングはコンロッドに取り付きますが、コンロッドの寸法よりも少し大きく作られています。

目的は、ベアリングを取り付けたときに、密着性を上げて熱の伝わりを良くすることです。

クラッシュハイト

図では、ものすごく極端に書いています。
実際には目視で分かるほど大きくはありませんが、問題を考えていくときには、このぐらい極端に考えた方が分かりやすいことが多いです。

クラッシュ・ハイトは密着性を上げるためのものなので、クラッシュ・ハイトが小さい(寸法が足りていない)と密着が悪くなり、逆に大きすぎると取り付けたときにたわみが出て、局部的に負担がかかります。

たわみ

極端な図ですが、たわみのイメージはこれです。
クラッシュ・ハイトが大きすぎるためにベアリングがたわみ、波打ったようになることで局部的に接触している状態です。

覚え方のポイント

クラッシュ・ハイト
小さい=密着悪い。大きい=たわみが出て、局部的に接触。

(4)について

コンロッド・ベアリングの材質、トリメタル(三層メタル)。
ベアリングはトリプル(3つ)のメタルで構成されています。

トリメタル
覚え方のポイント

トリメタル=トリプルメタル
三層で構成されている。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

整備現場では、親メタル・子メタルという呼び名があります。
親メタルは、クランクシャフト・ジャーナル・ベアリングのこと、子メタルは、コンロッド・ベアリングのことです。

オイル交換などを怠ると潤滑不良になり、オイル・クリアランスが保てなくなることで金属接触を起こし、メタルが傷だらけになってエンジンが焼き付いてしまう大惨事へとつながります。

この、メタルが傷だらけになることを“メタルが流れる”といい、症状の前兆として、エンジン回転中に“ゴォー”という異音が発生することがあります。

No.2

【問題】
エンジンの性能についての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)体積・充填効率の違いに関する記述
(2)エンジン損失の種類に関する記述
(3)エンジン損失の種類に関する記述
(4)熱効率の種類に関する記述

【解説】
(1)について

体積効率と充填効率は、エンジンが吸入する状況を比較するものです。

覚え方のポイント

体積効率と充填効率は、平地ではほぼ同じ。
高山など気圧の低い場所では差が出る。

難しく考えず、これだけ覚えておきましょう。

(2)、(3)について

現在、エンジンの熱効率(燃料が燃焼し、その力を有効に使えている割合)は、約40~50%ほど。
残りの50~60%は、損失として失われています。

熱効率

その損失の種類は、主に以下の3つがあります。

  • 熱損失:燃焼ガスの熱量が冷却水や冷却空気などにより失われること。この熱損失には、冷却水によって失われる“冷却損失”、排気ガスに持ち去られる“排気損失”、ふく射熱として周囲に拡散される“ふく射損失”がある。
  • 機械損失(フリクション・ロス):機械的な損失のこと。ピストン、ピストン・リング、各ベアリングなどの“摩擦損失”と、ウォータ・ポンプ、オイル・ポンプ、オルタネータなど“補機駆動の損失”がある。
    機械損失は、冷却水の温度、潤滑油の粘度、回転速度の影響が大きい。
  • ポンプ損失(ポンピング・ロス):混合気の吸入、燃焼ガスを排出するための損失。
覚え方のポイント

機械損失の内容・特徴をしっかり押さえておく。
冷間時と暖機後で摩擦の具合は変わりますし、粘度の高いオイルと低いオイルでも変わります。
また、エンジンの回転数が上がると、オルタネータなどのエンジン直結部品の回転数も上がるため、それに比例して損失(ロス)も多くなります。

(4)について

熱効率には以下の3つがあり、ポイントとともにまとめます。

覚え方のポイント

理論熱効率:理論上の熱効率。机上で考えたもの。
キーワードは“理論”です。

図示熱効率:実際のエンジンで、作動ガスがピストンに与えた仕事。エンジン内部のみで算出されたもの。
キーワードは“ピストン”です。

正味熱効率:内燃機関の熱効率のこと。実際にクランクシャフトから得られる動力を“正味仕事率”または“軸出力”といいます。
キーワードは“クランク”です。

各熱効率は、上記キーワードで見ると分かりやすいです。
〇〇効率とは・・・の問題の文章にキーワードが入っているかどうかで、どの熱効率のことを説明しているのかを判断できます。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

純正で使用されている0W-20などの粘度の低いエンジン・オイルは、機械損失を減らし有効熱効率を上げることに寄与していますが、高速や負荷の高い走行が多い使い方をする場合は、5W-30など少し粘度の高いオイルを使った方がエンジンに優しい場合があります。

No.3

【問題】
ピストンやピストン・リングについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)コンプレッション・リングの種類・特徴に関する記述
(2)アルミニウム合金ピストンの種類・特徴に関する記述
(3)コンプレッション・リングの役割に関する記述
(4)ピストン構造に関する記述

【解説】
(1)、(3)について

一般的にピストン上部に取り付けられるピストン・リングの構成は、以下の図のようになっています。

リング構造

ピストンの上からトップ・リング、セカンド・リング、オイル・リングとなっており、トップ・リングとセカンド・リングを合わせて、コンプレッション・リングといいます。

コンプレッション=圧縮であり、“コンプレッション・リングはシリンダ内の圧縮を保つため”のリングです。
具体的には、シリンダとピストン間の気密を保持し、ピストンの熱をシリンダへ伝える(逃がす)役割があります。

そのコンプレッション・リングには、形状の違いにより数種類のタイプがあります。

リング形状

断面形状が異なっているため特徴も異なり、以下にそれぞれをまとめます。

  • プレーン型:特徴は特になく、一番基本的な形状。
  • バレル・フェース型:シリンダとの接触面が円弧状。プレーン型の上下の角が取られた形状で、トップ・リングに使われる。
    使い始めからシリンダを傷付けにくい=初期なじみが良い。
    ちなみに、プレーン型も使っていくにつれて、シリンダとの接触により上下が削られ、バレル・フェース型のようになります。
  • テーパ・フェース型:テーパ状になっているため、シリンダに対して面ではなく線で接触。
    そのため、なじみやすく気密性が高い。セカンド・リングに使われます。
覚え方のポイント

プレーン型、バレル・フェース型、テーパ・フェース型の形状・特徴を覚えておく。
アンダ・カット型は、名前どおり下部がカットされていることを覚えておく。

(2)について

アルミニウム合金ピストンには、“作りやすく、劣化しづらく、作動精度を高める”ために、けい素やシリコンが含まれています。

上記のメリットがある一方で、けい素やシリコンを含みすぎるとピストンがもろくなり、強い負荷が加わったときに割れやすい傾向があります。

そのため含有量は、使うエンジンの特性に応じて変わることになり、シリコン含有量の少ないピストンをローエックス・ピストンといいます。

覚え方のポイント

シリコン含有量が少ない=Low=ローエックス

(4)について

ピストン・ヘッドにバルブの逃げを設けるのは、圧縮圧力を高めるための一つの手段です。

ピストンは、圧縮をするときに出来るだけシリンダ上部まで近づくようにした方が、圧縮圧力を高くできます。

圧縮圧力を高くできればエンジンの効率が上がるので、出来るだけ圧縮圧力を上げたいのですが、シリンダ上部までピストンを上げるようにした場合、シリンダ・ヘッドに取り付いているバルブと干渉する危険性が高くなります。

そのため、ピストン・ヘッド部にはバルブの逃げとなるくぼみが設けられています。
バルブの逃げは、バルブ・リセスとも呼ばれます。

これにより、ピストンとバルブが直接干渉しづらくされているのです。

覚え方のポイント

バルブの逃げ=バルブ・リセス
目的:圧縮圧力を高めるため。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

もしもタイミング・ベルトが切れた場合、ピストンとバルブが干渉し(非干渉エンジンも一部あり)エンジンが破損するため、タイミング・ベルトは10万kmごとの交換が必要です。

また、タイミング・ベルト交換と同時にウォーター・ポンプも交換することが推奨されています。
ウォーター・ポンプは使用過程でシールが劣化していき、密着性が悪くなることで水漏れを起こします。
ウォーター・ポンプを交換するには、タイミング・ベルトを取り外す必要があるため、タイミング・ベルトを交換するのであれば、ついでに交換した方が後々お客さんのためになるからです。

現在の主流は、タイミング・チェーンが使用されたエンジンです。
ゴム製のタイミング・ベルトと違い金属製のため、無交換のまま使用することができますが、エンジン・オイル交換を怠っていると徐々に伸びてしまい、エンジンの不調や始動不良につながるケースが多いです。

No.4

【問題】
スロットル・ポジション・センサについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)取り付け位置に関する記述
(2)検出方法に関する記述
(3)検出特性に関する記述
(4)制御に関する記述

【解説】
(1)について

スロットル・ポジション・センサとは、スロットル・バルブがどのくらい開いているのか、つまりスロットル・バルブの現在位置を検出するセンサです。

そのため、スロットル・バルブの同軸上に取り付いています。

電スロ

上図は、アクセル・ペダルを踏んでからスロットル・バルブを開くまでの簡略図です。

流れの説明
  1. アクセル・ペダルの踏み込み量を、アクセル・ペダルに取り付いているアクセル・ポジション・センサで検出。
  2. エンジン・コントロール・ユニット(以下ECU)に送信。
  3. ECUは、その信号をもとにスロットル・バルブを動かすためのモータへ駆動信号を送る。
  4. スロットル・バルブが開き、開き量をスロットル・ポジション・センサが検出。
覚え方のポイント

スロットル・ポジション・センサとアクセル・ポジション・センサを勘違いしないよう注意。

(2)、(3)について

スロットル・ポジション・センサやアクセル・ポジション・センサには、ホール素子式のセンサが使われています。

ホール素子

ホール素子式は、上図のような“ホール効果”と呼ばれる現象を利用したものです。
電流の流れ方が変わり、その変化を電圧に変換することで、バルブの現在位置やペダルの踏み込み量を検出しています。

覚え方のポイント

磁束密度が大きくなると、発生起電力は大きくなります。
大きい=大きいで覚えましょう。

(4)について

スロットル・バルブの現在位置は、とても重要な信号です。
燃料噴射量、点火時期、アイドル回転速度など様々な制御に使われます。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

国産車のホール素子センサの耐久性はとても高く、センサ単体が故障することはあまり多くありません。

アイドリングや発進時にエンジン不調やがあるときに、アクセル・ポジションやスロットル・ポジションのセンサを疑いがちですが、原因は“スロットル・バルブのカーボン堆積による汚れ”であることが非常に多いです。
その場合は、スロットル・バルブをパーツ・クリーナーなどで清掃することで改善します。(清掃後に学習操作が必要になる場合あり)

No.5

【問題】
エンジン内部で発生するNOx(窒素酸化物)の低減策についての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)インマニ形状の工夫に関する記述
(2)、(3)、(4)最高燃焼ガス温度の影響に関する記述

【解説】

Nox(窒素酸化物)とその低減方法

問題理解に必要なものは以下の内容です。

ガソリン・エンジン自動車が排出する有害ガスは大きく3つ。
CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)です。

発生要因として、COは不完全燃焼、HCは生ガス排出(燃え残り)、Noxは高温で燃焼したとき、です。

COとHCは、燃焼改善により低減することができます。

一方、NOxは窒素と酸素の化合物で、人体には無害である一方、オゾン層を破壊し酸性雨のもとになる危険性から、有害排出ガスとして扱われます。

エンジン内部で燃焼する際、一定の条件によりNOxが発生するため、発生条件を満たさないよう様々な工夫がされています。

発生条件の大きなポイントが、最高燃焼ガス温度です。
燃焼温度が約1500℃を超えると、NOxが急速に生成されると言われています。

そのため、最高燃焼ガス温度を下げることがNOxの低減につながります。

最高燃焼ガス温度を下げるには、燃焼状態を改善し、素早く燃焼を完了させることが有効です。

(1)について

インマニ形状を見直し、混合気の流れをスムーズにすることで流れが阻害されず、燃焼状態が良くなりCOとHCの低減につながります。

(2)について

空燃比制御

空燃比とは、空気とガソリンの割合のこと。
燃料を完全燃焼させるのに理想とされる空燃比は、14.7:1(空気:ガソリン)と言われています。(理論空燃比と呼ばれる)

最適な空燃比(混合割合)は、運転状況や燃焼状態で大きく変わります。
空気の量をコントロールすることは難しいため、燃料の量を調整することで空燃比を変化させています。

つまり、燃料の噴射量を細かく増減する制御が空燃比制御。
運転状況は様々なセンサの信号から、燃焼状態はO2センサで排気ガスの酸素量を検出することにより演算されています。

点火時期制御

スパーク・プラグに点火するタイミングを細かく調整すること。
様々なセンサの信号によって、最適なタイミングが選択されます。
燃焼を素早く完了させるための制御です。

上記の制御により、燃焼をスムーズに行い混合気を素早く燃やすことで、最高燃焼ガス温度を下げています。

(3)について

燃焼時間が長くダラダラと燃焼してしまうと、最高燃焼ガス温度が上がってしまう要因になります。
燃焼室形状を改良し、点火してから燃焼完了までの時間を短く(素早く燃やす)することが、最高燃焼ガス温度を下げることにつながります。

(4)について

EGR(排気ガス再循環)装置

EGRは、Exhaust Gas Recirculation(排気ガス再循環)の頭文字を取ったもので、排気ガスの一部をインマニへ戻すための装置です。

エンジンは、理論空燃比付近で燃焼しているときほど燃焼状態は良いですが、その分最高燃焼ガス温度が高くなっています。

そこで、燃え終わった排気ガスをインマニへ戻し、混合気に排気ガスを混ぜた状態で燃焼させることで、わざと燃えを悪くさせています。

その結果、最高燃焼ガス温度が下がります。

外部EGR
可変バルブ機構

INバルブやEXバルブの開閉タイミングを調整するものです。

バルブはカムシャフトにより駆動されているため、通常、エンジンに組み付けた時点で開閉タイミングが固定されますが、カムシャフトの動きを制御し、カムシャフトがバルブに当たり出すタイミングを変えることで開閉タイミングを調整することが可能になります。

下図のように、開閉タイミングを調整することで、排気されようとしていたガスが、燃焼室に逆流する現象を起こすことができます。

ちなみに、これは“内部EGR”と呼ばれます。
先述したEGR装置を別に設けたものは“外部EGR”と呼ばれ、その目的は同じですが、導入量に差があることからエンジンによって、外部EGR有り無しが選択されています。

内部EGR
覚え方のポイント

CO、HCは、燃焼自体を良くすることで低減できる。
NOxは、燃焼時間を短くし最高燃焼ガス温度を下げることで低減できる。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

EGRバルブに排気ガス中の汚れが溜まることで作動不良が起きてしまい、ECUが狙った量以上の排気ガスがシリンダに入り込んでしまうことで、アイドリング~走行中の様々なシーンでエンジン不調になるケースが多くあります。

EGRバルブを清掃すると改善することが多いですが、数か月後に症状が再発する場合があります。
それは、“EGRバルブに汚れが溜まりやすい要因が他にある”可能性があり、私の経験では、スパーク・プラグが長期間交換されていなかったために燃焼状態が悪くなり、排気ガスに燃え残りが大量混入することでバルブが汚れやすくなっていたことがあります。

No.6

【問題】
スキッシュ・エリアの構造や特徴、目的についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)、(2)、(3)、(4)すべて、スキッシュ・エリアの構造や特徴、目的に関する記述なので、スキッシュ・エリアの内容を押さえます。

スキッシュ・エリアとは?

ピストン・ヘッドとシリンダ・ヘッドで形成されており、ピストンが上死点位置にあるときのピストンとシリンダ・ヘッドとの隙間をいいます。

目的は、混合気に渦流を発生させること。
スキッシュ・エリア内で空気が押しつぶされる形になり、燃焼室内の混合気を撹拌するイメージ。
点火したときに燃え広がりのスピードが速くなり、燃焼時間を短くできます。

スキッシュ・エリアには、通常タイプと斜めタイプの2つがあり、斜めタイプの方が、より渦流を発生させやすい効果があります。

スキッシュ・エリアの面積や厚みによって、得られる効果に差が出ます。

スキッシュ
覚え方のポイント

斜めスキッシュの方が優秀。
面積が大きいほど、厚みが小さいほど流速は高く(速く)なる。
面積が小さいほど、厚みが大きいほど流速は低く(遅く)なる。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

一見、整備の現場に必要な知識ではないですが、種々の工夫により燃焼改善や出力向上が図られているということは、自動車整備士として知っておくべきだと思います。

No.7

【問題】
インテーク側の可変バルブ・タイミング機構の構造・機能についての問題です。
間違っている記述を選択します。

問題を解いていくには、バルブ・タイミング機構の構造・機能についての理解が必要です。

可変バルブ・タイミング機構とは?

カム・シャフトの回転を制御し、INバルブが開き始めるタイミングを変化させる機構です。

エンジンの運転状況によって、バルブの開き始めを進角(早く)するか遅角(遅く)するかを調整しています。

カムの形状を変えるわけではないので、バルブが開いている時間(作動角)は同じです。
つまり、INバルブの開き始めが早くなると閉じ終わりも早くなり、開き始めを遅くすると閉じ終わりも遅くなります。

また、エンジン停止時は、内蔵されたロック装置により最遅角状態で固定される。

バルタイ
oplus_0

上図は、アイドル時、低速時、中速時、高速時、それぞれの場合でバルブ・タイミング機構が有利に働く考え方の簡略図です。

アイドル時は、オーバ・ラップを小さくしたいので遅角=開き始めを遅くしたい。
高速時は、できるだけ混合気を取り入れたいので遅角=閉じ終わりを遅くしたい。

低速時は、吸入した混合気をできるだけ逃がしたくないので進角=閉じ終わりを早くしたい。

中速時はそれぞれの中間のイメージ=作動としては進角です。

運転状況によって、開き始めや閉じ終わりの最適なタイミングを狙っています。
開き始めが遅くなると閉じ終わりも遅くなるため、狙いたいポイントは違っていますが、結果として“アイドル時と高速時は同じ遅角”となります。

覚え方のポイント

アイドル時と高速時は遅角。
低速時と中速時は進角となり、低速時は大きく進角、中速時は中程度の進角のイメージです。

エンジン停止時は、ロック装置により最遅角状態で固定。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

可変バルブ・タイミング機構の作動不良によりエンジン不調になることが多々あります。

この機構には油圧式と電動式がありますが、油圧式が主流です。
エンジン・オイルの油圧で進角・遅角を制御していくのですが、作動部に油圧を供給するために“オイル・コントロール・バルブ”という部品が使われます。

オイル・コントロール・バルブにエンジン・オイル内の小さなゴミが溜まっていくことで動きが悪くなり、結果的にECUが狙ったとおりの可変制御ができず、エンジン不調へつながっていくという流れです。
オイル・コントロール・バルブを清掃することで改善した例も多くありました。

エンジン・オイルの定期交換は非常に重要で、交換を怠ると様々なトラブルにつながります。

No.8

【問題】
エンジンの各センサの構造・特性についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)バキューム・センサの電圧特性に関する記述
(2)アクセル・ポジション・センサの異常検知に関する記述
(3)空燃比センサの電圧特性に関する記述
(4)O2センサの特性に関する記述

(1)について

バキュームセンサ
構造のポイント

センサ内部のシリコン・チップ上部は真空室、下部はインマニ圧力に接しており、常に引き合った状態になっている。
シリコン・チップの変形を電圧に変換している。
インマニ圧力が高くなると出力電圧も高くなる。

(2)について

アクポジセンサ
構造のポイント

スロットル・ポジション・センサと役目を混同しないように注意。

センサ内部が二系統になっており、2つの信号が一定の差を保っているかを見ることによって異常検出を行う。

(3)、(4)について

O2センサと空燃比センサ
排気ガスの状態を見るO2センサと空燃比センサ

取り付け位置は、エキゾースト・マニホールド。排気ガスを直接センサに当てることで、排気ガス中の残存酸素濃度(どのくらい酸素があるか)を検出しています。

残存酸素濃度を見ることで、現在の空燃比が濃いのか薄いのかを知ることができます。

排気ガス中に酸素が多い…空燃比が薄い
排気ガス中に酸素が少ない…空燃比が濃い

エンジンECUは排気ガスの状態によって、空燃比が濃いときは燃料を減量し、空燃比が薄いときは燃料を増量することで、完全燃焼ができる理論空燃比に近付けていきます。
また、この制御のことを空燃比フィードバック制御と言います。

従来はO2センサで検出されていましたが、さらに検出精度を高められた空燃比センサが主流です。
そのため、元々O2センサが取り付いていたところに、空燃比センサが代わりに取り付くことが多いです。

【それぞれの特徴】
O2センサ:信号出力範囲は0~1V、空燃比が“濃い”か“薄い”かのみ検出可能。
空燃比センサ:信号出力範囲は0~5V、空燃比が“どのくらい”濃いか薄いかまで検出ができるため、空燃比フィードバック制御の精度も上がる。

覚え方のポイント

空燃比センサはO2センサの上位互換のイメージ。

O2センサは、大気(例:酸素10)と排気ガス(例:酸素1)の酸素濃度差が大きい(空燃比濃い)と約1Vを発電・出力する。
酸素濃度差が小さい(空燃比薄い)ときは、ほとんど発電・出力しない。(約0V)

空燃比センサは、出力電圧が0~5Vと大きく、O2センサと出力特性が逆になる。

また、どちらのセンサも、センサ自体が高温にならないと作動が安定しない。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

O2センサや空燃比センサは燃料噴射量の増減に直結するセンサのため、センサ本体不良やセンサ検出部分の汚れによりエンジン不調になるケースがあります。

まずは、O2センサや空燃比センサのコネクタを外し、空燃比フィードバック制御を強制的に止めてみてエンジンの調子に変化があれば、センサ不良もしくはセンサ検出部汚れの可能性が高くなるため、診断を進めやすくなります。

No.9

【問題】
バルブ・タイミングについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

この問題は各回に1問必ず出題されます。
出題傾向は以下の3種類です。

出題の傾向
  1. 特定のシリンダを〇〇(例:圧縮上死点)にするには、クランクを○○°回さないといけないか?
  2. クランクを〇〇°回したときに、○番のシリンダはどの状態(例:排気上死点)か?
  3. 上記1もしくは2に加え、バルブ・クリアランスの測定可否を問う問題。
ダイヤグラムとバルクリ
覚え方のポイント

ダイヤグラムは右回り。
ダイヤグラムにシリンダ番号を入れていくときは、点火順序の順に左回りに入れていく。

排気上死点(オーバーラップ上死点)のみ、2か所に同じシリンダ番号が入る。(排気上死点=吸入が始まるところだから)

問題の初期状態のダイヤグラムと、クランク回転後のダイヤグラムの二つを書く。

同軸上のクランク・ピン部分の数字は、必ず“足して7”になる。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

バルブ・クリアランスはカムの状態を見ながら測定するため、ダイヤグラムなどを意識することはないですが、エンジンの動きを知るうえでの筆記問題ということで、ぜひ覚えておきましょう。

No.10

【問題】
スタータの特性についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)アーマチュア・コイルの電流の流れ方に関する記述
(2)アーマチュア・コイルの電流特性に関する記述
(3)駆動トルクの変化に関する記述
(4)駆動トルク特性に関する記述

(1)、(2)、(3)、(4)について

スタータ・モータのピニオン・ギヤがエンジンとかみ合うことで、エンジン始動のきっかけとなる回転を与えていますが、ピニオン・ギヤはアーマチュア・コイルの回転によって回ります。

問題を解いていくには、出題傾向から覚えるポイントを絞っていきましょう。

覚えるポイント

スタータ・モータ内のアーマチュア・コイルは、電流が流れ回転するにつれて、抵抗成分である“逆起電力”が増えていく。

逆起電力は電流の流れを妨げるため、回転上昇とともに電流が流れにくくなり、ピニオン・ギヤの回転がゼロのときに最も電流が流れ、回り始めると流れる電流は減少していく。

また、電流が減少していくことにより、スタータ・モータのトルク(回転力)も減少していくことになる。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

スタータ・モータには、バッテリから直接電気が入ってきている端子があるため、スタータ・モータを整備する際は、原則バッテリのマイナス端子を外しておきます。
ショート(短絡)しないよう細心の注意が必要です。

No.11

【問題】
バッテリの構造・特性についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)ハイブリッド・バッテリの極板材質に関する記述
(2)カルシウム・バッテリの極板材質に関する記述
(3)アイドリング・ストップ車用バッテリの耐久性に関する記述
(4)低アンチモン・バッテリの特徴に関する記述

バッテリは極板材質の違いにより3種類あり、極板の材質や性能・コストに対し出題されています。
なお、この中のハイブリッド・バッテリとは、高電圧を使用したニッケル水素やリチウムイオンのHVバッテリのことではなく、12Vバッテリの種類の一つなので間違えないよう注意です。

(1)、(2)、(4)について

下表をもとに、正極板と負極板の材質の組み合わせを覚えましょう。

バッテリ種類

(3)について

アイドリング・ストップ(以下:IS)付きの車両には、IS対応の専用バッテリが指定されています。
通常のバッテリとの具体的な違いは、以下の2つです。

  • 急速充電に対応している。

IS付き車両は減速時に急速充電を行います。
車両が減速を始めると、通常のバッテリよりも高い電圧を短時間で一気にバッテリへ送り込みます。
通常のバッテリではその電気を受け入れることができないため、IS付きの車両にはIS対応の専用バッテリを取り付けないといけません。

  • 過酷な状況での充電・放電を繰り返し行うことができる。

IS付きの車両は、エンジンの停止・始動が頻繁に行われるため、バッテリ充放電の耐久性が高いものが使われています。

覚え方のポイント

バッテリの3種類の材質・性能・コストを押さえる。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

IS対応の専用バッテリは、耐久性が高められているため通常のバッテリよりも高価です。

そのため、IS付きの車両にも関わらず、IS対応ではない安価な通常のバッテリを取り付けた場合、早期(例:3か月や半年)にバッテリ上がりを起こすことがあります。

これは前述したとおり、IS付きの車両は減速時に急速充電を行いますので、通常のバッテリでは受け入れ能力が低いため、充電が追い付かない状態になるためです。

また、性能が高いのであれば、“通常バッテリの車両にIS対応バッテリを付けてもよいのか?”と聞かれることが過去にありました。

答えはYESで、IS対応バッテリは通常バッテリの上位互換になります。
建設機械などの使用頻度が低い車両にIS対応のバッテリを付けることで、バッテリ自体を長く使える可能性は高いです。

No.12

【問題】
論理回路についての問題です。
正しい記述を選択します。

論理回路には5種類あり、回路の構成によってそれぞれ名称が付いています。

この問題を考えるときに必要な構成要素は、以下の3つです。

A=スイッチA(入力)、B=スイッチB(入力)、Q=ランプ点灯(出力)

それぞれ“0”または“1”で表され、スイッチの場合は“0”がスイッチOFF、“1”がスイッチONを表します。

ランプは“0”が消灯、“1”が点灯です。

回路の組み方で、スイッチON・OFFの組み合わせによるランプの点灯結果が変わるため、回路の特徴をつかんでおきましょう。


暗記問題ではありますが、回路構成を理解しておくことで正解率が上がります。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

回路構成は以下のとおりです。

論理回路1
論理回路2
覚え方のポイント

ANDとORを覚えておき、NOTは“結果が反転”と覚える。
NANDとNORは、ANDとORの結果を反転させるだけ。

ANDはかけ算(0×1=0、1×1=1)、ORは足し算(0+1=1、1+1=2←1と考える)という覚え方もある。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

まさに筆記試験というタイプの問題ですが、実際の電気回路を理解する上では必要な基礎知識です。

論理回路の図をそのまま暗記しても問題ありませんが、実際の回路が頭に入っておくと、AND(両方ONでランプ点灯)やOR(どちらか片方ONでもランプ点灯)といった、回路の名称も整理しやすくなると思います。

No.13

【問題】
過給機についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)ターボ・チャージャの過給圧制御に関する記述
(2)スーパ・チャージャの過給圧制御に関する記述
(3)スーパ・チャージャの構造に関する記述
(4)ターボ・チャージャの特徴に関する記述

過給機の種類・特徴

【ターボ・チャージャ】

排気ガスの圧力を利用してタービン・ホイールを回転させ、タービン・ホイールと同軸上の吸気側に取り付けられたコンプレッサ・ホイールを回転させることで、空気を圧縮しシリンダ内へ供給する。

タービン・ホイールとコンプレッサ・ホイールをつないでいるシャフトは高速回転するため、軸受けにはフル・フローティング・ベアリングが使われる。
このベアリングは、オイルに浮いた状態になっているため、シャフトの周速の約半分で回転する。

排気ガスの圧力を利用した装置であるため、エンジン低回転時の立ち上がりが弱く、エンジン回転が上昇するにつれて出力が向上していく。

【スーパ・チャージャ】

補機ベルトなどにより、エンジンの回転力を伝達することで回転させ、空気を圧縮しシリンダ内へ供給する。

エンジンの力を利用した装置であるため、エンジン低回転時でも安定した能力を発揮できるが、エンジン回転が上昇するにつれエンジンの効率を下げる原因にもなってしまう。

【特徴まとめ】

ターボ・チャージャは高回転領域が得意で、スーパ・チャージャは低回転領域が得意という特徴がある。

そのため、一部の車両では両方を搭載し、エンジンの回転数によってターボ・チャージャとスーパ・チャージャを使い分けるツイン・チャージャ式のものがある。

(1)、(2)について

ターボ・チャージャやスーパ・チャージャには部品保護のため、過給圧が規定値よりも上がった場合に、過給圧を低下させるための逃し弁が設けられています。

ターボ・チャージャにはウエスト・ゲート・バルブが付いており、バルブが作動するとバイパス通路が開き、タービン・ホイールを通る排気ガスの量を減らすことで、過給圧が下がるようになっています。

一方、スーパ・チャージャにはエア・バイパス・バルブが付いており、バルブが作動すると過給圧の一部を吸気側へ逃がし、規定の過給圧に調整するようになっています。

覚え方のポイント

それぞれのバルブは、過給圧が規定値よりも上がった場合に作動する。

エア・バイパス・バルブは、過給圧の一部を“吸気側”へ逃がす。

(3)について

スーパ・チャージャの種類の一つである2葉式のものでは、ロータ1回転につき4回の吸入・吐出が行われます。

(4)について

上記の種類・特徴参照。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

ターボ・チャージャでは、ウエスト・ゲート・バルブの閉じ不良により過給圧が規定値まで上がらないトラブルや、ターボ内のオイルが漏れ出してしまい、配管を通って吸気側へ回り込むことで、エアダクトがオイルまみれになったり白煙を吐いたりするトラブルがあります。

No.14

【問題】
スパーク・プラグについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)中心電極が与える作用に関する記述
(2)着火ミスの要因に関する記述
(3)着火ミスの要因に関する記述
(4)熱価の違いに関する記述

まず、スパーク・プラグの熱価についてはこちら。

スパーク・プラグ

(1)について

スパーク・プラグの火花を飛ばす中心電極ですが、飛火性や着火性を向上するため、昔に比べると電極が細くなっています。

覚え方のポイント

中心電極は細い方がいい!

(2)について

消炎作用=火花を飛ばせないようにするもの。
吸入混合気の流速が高過ぎると、火花が飛べなくなる。

覚え方のポイント

吸入混合気の流速は、風が強いとろうそくの火が消えるイメージで考える。

(3)について

空燃比は大き過ぎても小さ過ぎても着火ミスの原因になる。

(4)について

覚え方のポイント

熱価=放熱する度合いのこと。
“熱のこもりやすさ”と勘違いしないよう注意。

高熱価=放熱度合いが高い。(よく放熱する)
低熱価=放熱度合いが低い。(あまり放熱しない)

熱価の呼び名は3種類あり、問題によって使われることがある。
高熱価=コールド・タイプ=冷え型
低熱価=ホット・タイプ=焼け型

語呂で覚える。
「ホ テイ サンハ ナガイ」=ホット 低熱価 碍子脚部長い
低熱価を覚えておけば、高熱価にも対応できる。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

スパーク・プラグがエンジン不調の原因になるトラブルは多いです。

イリジウム・プラグが主流になり、10万km交換が当たり前になっていますが、日頃の使い方(エンジン回転数が高い=点火の回数多い)によっては、10万kmもたずに交換が必要になることも多々あります。

スパーク・プラグが悪くなると、イグニッション・コイルに負担がかかり破損に至ることも。

スパーク・プラグの劣化は見た目での判断が難しく、不具合が出ないと分からないため、不具合がないうちに早めの交換がおすすめです。

No.15

【問題】
スター結線式のオルタネータについての選択問題です。
正しいものを選択します。

(1)~(4)すべて中性点についての記述です。

スター結線とデルタ結線

オルタネータのステータ・コイルの結線方法には2種類あり、以下の特徴があります。

スター結線は、デルタ結線に比べて結線が簡単中性点が使えることに加え、エンジン低回転時でも出力が安定しています。
しかし、デルタ結線よりも最大出力電流は劣ります。

【使用状況】
立ち上がりが安定していて扱いやすいスター結線が主流。
ディーゼル車やトラックなどはエンジン回転域が高いことから、デルタ結線が使われることもある。

スター結線式の中性点

中性点は結線の中心に位置するもので、スター結線にのみ存在します。
高速回転時に発電した電気の取りこぼしをなくす目的で利用されることがあります。

【中性点利用の流れ】

  1. 中性点に交流が発生
  2. ダイオードで整流
  3. 直流にして出力に加算
  4. 高速回転時の出力電流の増加

中性点を利用しているオルタネータには、中性点整流用のダイオードが追加で付いています。

覚え方のポイント

中性点はオルタネータの高速回転時に活きてくる。
電圧と電流の文言をしっかりと覚えておく。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

オルタネータ内部の結線の知識や結線状態が必要になることはほぼありません。
筆記の試験ということで割り切って暗記しましょう。

オルタネータの経年劣化のトラブルといえば、ブラシの摩耗による発電不良やプーリに使われるベアリング不良による異音・発電不良があります。

昔に比べ長寿命化しているとはいえ、10万kmを超えてくると不具合を起こすことも多いです。

発電系統が不具合を起こすと、すぐにではないですがエンジンがかからなくなったり、走行中にエンジンが止まってしまうことで身動きが取れなくなることもあるため、予防整備が大切になります。

No.16~30

No.16

【問題】
インテグラル型油圧式のパワー・ステアリングについての問題です。
問題の図を参考にして、間違っている記述を選択します。

(1)~(4)は構成部品や動力の伝達経路についての記述です。
以下の内容を覚えておきましょう。

問題を解くためのポイント

【動力伝達経路】
ハンドル→スタブ・シャフト→トーション・バー→ウォーム・シャフト

【各構成部品】
・スタブ・シャフトはハンドルと直結。
・ロータはスリーブにかん合。
・ロータとスリーブ=ロータリ・バルブ
・トーション・バーがねじれるとロータが回転し、油路が切り替わる。

【正解】(4)

No.17

【問題】
ホイール・アライメントについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)トーイン、キャンバの影響に関する記述
(2)スラスト角に関する記述
(3)ボールナット型のタイロッド長の影響に関する記述
(4)リヤ側タイロッドの特徴に関する記述

選択肢の中には、試験と割り切って覚えるものもありますが、トーイン・アウト、キャンバ、キャスタなど比較的分かりやすく、実務にもつながるものは理解しておくとよいでしょう。

アライメント

(1)について

キャンバ・スラストは、上図のようにタイヤの上側が傾いている方向に発生します。
トーインでは内向きのスラスト力が発生するため、プラス・キャンバを設けることでスラスト力が打ち消しあうことになります。

(2)、(3)、(4)について

適切な文章です。そのまま覚えておきましょう。
(4)については、バウンド=トーイン、リバウンド=トーアウトで覚えます。

覚え方のポイント

トーイン・アウト、キャンバ、キャスタなどは理解を深め、それ以外は適切な文章を暗記する。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

車検時のサイド・スリップ測定では、測定した結果によってタイロッドを調整し、トーイン、トーアウトの調整を行う場合があります。

また、事故修理後や足回りの整備後にはアライメント測定を行い、トー、キャンバ、キャスタを調整することもあります。
アライメント測定は外注で行う場合も多いですが、タイヤの偏摩耗や乗り心地にも影響するものなので、それぞれの特徴を理解して進みましょう。

No.18

【問題】
回転速度差感応式の差動制限型ディファレンシャルについての問題です。
間違っている記述を選択します。

まずは、それぞれの構造と特徴を押さえます。

種類と目的

差動制限型ディファレンシャル(以下:LSD)には機械式と電気式があり、機械式には回転速度差感応式やトルク感応式(ヘリカル・ギヤタイプ)がある。

回転速度差感応式はビスカス式とも呼ばれ、LSD内部のビスカス・カップリングの作用によって、トルク感応式は、LSD内部のヘリカル・ギヤの摩擦力によって差動を制限する。

目的は、“高回転側から低回転側に大きな駆動力を発生させる”こと。

回転速度差感応式

LSD内部には、通常のディファレンシャル部分に加え、“高粘度のシリコン・オイルと複数のインナ・プレート、アウタ・プレート”が取り付いている。
これを“ビスカス・カップリング”という。

左右輪の回転速度に差が生じたとき、インナ・プレートとアウタ・プレートに回転差が発生し、シリコン・オイルの作用によって高回転側から低回転側にビスカス・トルクが伝わり、低回転側に大きな駆動力が発生する。

高粘度のシリコン・オイルは“はちみつ”のようなもので、容器に入れた“はちみつ”を箸でかき回していくと、次第に容器ごと回り出す現象と同じイメージで考える。

このシリコン・オイルは、定期交換が指定されているデファレンシャル・オイルとは別物なので勘違い注意。

トルク感応式(ヘリカル・ギヤタイプ)

デファレンシャル・ケース内は、ピニオンやサイド・ギヤと呼ばれる複数のヘリカル・ギヤで構成されている。

左右輪の回転速度に差が生じると、各ギヤのかみ合い反力によって、ピニオンをディファレンシャル・ケースに押し付ける力が発生する。

この摩擦力によって、ピニオンとディファレンシャル・ケースが一体で回転しようとすることで、高回転側から低回転側に駆動力が伝えられる。

(1)について

左右輪に回転速度差が出たときにビスカス・トルクが発生します。
イメージしやすいのは、片輪が側溝などに脱輪し、脱輪した方の車輪だけが高速で回転しているような場合です。

(2)について

“大きいほど大きな”と、つなげて覚えておきましょう。

(3)について

LSDの目的は、低回転側に駆動力を発生させることです。
読み間違いに注意。

(4)について

文章のとおりです。

LSDまとめ

本来デファレンシャルは、旋回時など左右輪の回転速度差を調整するための差動装置です。(右旋回時:右輪回転低い、左輪回転高い)

しかし、通常のデファレンシャル(オープン・デフ)では、片方の車輪が回らなくなると、もう片方の車輪のみが回り続ける構造のため、状況によって差動を制限するものがLSDです。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

デファレンシャルを説明するのに脱輪を例にしていましたが、実際の車両の走行では、よほどきれいな直線でない限り、左右輪に回転差が発生していると言われます。

特に高速旋回時は遠心力が強く働き、右に旋回しているときは極端に見ると車両右側が浮いた状態になります。
左輪は接地し右輪が浮いていると考えると、これは脱輪したときと同じようになり、設置している左輪に駆動力が発生しづらくなります。

そのため、スポーツカーにはLSDが標準装備されることも多くあり、その中でも回転速度差感応式はシリコン・オイルを使用しているため、ギヤ式に比べ差動制限の効きがマイルドだと言われます。

No.19

【問題】
電子制御式AT のロックアップ機構についての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)ロックアップ・ピストンの衝撃吸収に関する記述
(2)ロックアップ・ピストンの構造に関する記述
(3)ロックアップ・ピストンの役割に関する記述
(4)ロックアップ・ピストンの動力伝達に関する記述

ロックアップ機構とは

主にAT車に使われているトルク・コンバータは、ポンプ・インペラ(以下:ポンプ)がエンジンにより回され、その回転はATFを介してタービン・ランナ(以下:タービン)へ伝えられています。

ATFを介して動力が伝わるため、わずかながら動力ロスが発生し、仮にポンプが3000回転している場合、タービンはそのまま3000回転とはなりません。

しかし、初めから直結状態にしておくと、車両の抵抗によってエンジン・ストールを起こしてしまうため、ある程度回転速度が上がってからでないとロックアップは締結できません。

ロックアップは、ロックアップ・ピストンの摩擦材をカバーに押し付けることで行われます。
ロックアップ解除時は、ATFの油圧によってロックアップ・ピストンがカバーから離れた状態になっており、締結時にはロックアップ・ピストンの摩擦材側のATFをドレーンすることで、油圧の力により摩擦材をカバーに密着させています。

ロックアップ・ピストンは、タービンにスプラインかん合している(機械的につながっている)ため、ロックアップが締結すると、エンジン回転→カバー→タービンへと動力が伝わるようになります。

また、ロックアップ・ピストンには、エンジンのトルク変動を吸収・緩和するためのダンパ・スプリングが組み込まれています。

ロックアップ

(1)について

エンジンのトルク変動がダイレクトにかかる部分になるため、その衝撃を吸収・緩和するためのダンパ・スプリングが組み込まれています。

(2)について

どこにスプラインかん合しているのかを押さえる。

(3)について

ロックアップはポンプとタービンの直結装置。直接動力を伝えます。

(4)について

ロックアップ・ピストンがカバーに密着することで、カバーの回転が直接タービンに伝わります。

覚え方のポイント

ロックアップ・ピストンがカバーに密着すると直結状態になります。
読み間違いに注意しましょう。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

【過去と現在】
ロックアップの構造を見ていると、できるだけ早めに直結状態にした方がいいですよね。

昔の車のロックアップ制御はONかOFFだけだったので、ある程度の速度域(例:60km/h以上)にならないと直結状態にできませんでしたが、現在の車両は制御の精度が上がり、じわっとON→しっかりONと細かい動きが可能です。

この制御はフレックス・ロックアップと呼ばれ、低速域(例:10~20km/h)からじわじわロックアップを開始しています。

【エンスト トラブル】
FR車でロックアップが影響し、“減速時にエンストする”ことがあります。原因は“ATF量の不足”で、ATFを規定量に調整するとトラブルは解消。

原因はこうです。
走行中にロックアップ制御がONにしたあと減速すると、ロックアップ制御はOFFになりますが、ATF量の不足によりロックアップ・ピストンをカバーから離すための油圧が確保できず、ロックアップが効いたままになることで、エンジン回転が車の抵抗により妨害されエンストするというものでした。

この事例からは、構造理解の重要性やATFの点検・管理の必要性を学びました。

No.20

【問題】
図で示すタイヤの摩耗についての問題です。
波状摩耗の原因として間違っている記述を選択します。

覚え方のポイント

タイヤの摩耗はたくさんの種類があり、それぞれ原因箇所が異なります。

その原因には重複しているものも多いですが、すべて覚えるのではなく、覚えやすいものを覚えて選択肢を削っていくことが有効です。

覚えておくのは以下の4つ。

タイヤの摩耗

上記の4つは実際に起きることも多いですし、原因も比較的分かりやすいです。
この4つをしっかりと覚えておき、問題を解いていきましょう。

(1)、(2)、(3)、(4)について

波状摩耗は、タイヤが波状に摩耗している状態です。
回転バランスが悪いことが主な原因で、回転バランスが悪くなる要素の選択肢は正しいということになります。

そこで選択肢を見てみると、明らかに違うのが“エア圧の過大”
エア圧が高すぎるとタイヤがパンパンに張ってしまうことで、タイヤ中央部だけが摩耗していきます。(中央摩耗)

そのため、他の選択肢がよく分からなくても“これは違う”というものが分かっていれば解けることが多いです。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

ミニバン形状の車は外側摩耗を起こしやすい傾向があります。

これは、車の背が高いため旋回時に遠心力が大きくなり、右曲がりのときは左へ、左曲がりのときは右へ重心移動が起きることで、両タイヤの外側に大きな負荷がかかることで摩耗していきます。

ゆっくり曲がるなど、エコな運転を心がけることでタイヤの寿命は大きく変わるでしょう。

No.21

【問題】
アクスル、サスペンションについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)全浮動式の車軸懸架式リヤ・アクスルの構造に関する記述
(2)独立懸架式サスペンションの構造に関する記述
(3)車の揺れ(ローリング)に関する記述
(4)懸架式の違いによるロール・センタの変化に関する記述

懸架・振動

(1)について

車軸懸架式リヤ・アクスルには、ホイールに掛かる荷重の支持方式として全浮動式と半浮動式があります。

全浮動式と半浮動式
  • 全浮動式:アクスル・ハウジングのみで支持
  • 半浮動式:アクスル・ハウジングとアクスル・シャフトで支持

(2)について

車軸懸架式と独立懸架式
  • 車軸懸架式:左右輪を一本のアクスルで支持
  • 独立懸架式:それぞれの車輪をサスペンション・アームで支持

車軸懸架式はトラックや貨物車などに多く使われる。
強固な構造である一方、左右輪が一体で動くため、独立懸架式に比べると車の振動は多くなる。

独立懸架式は左右輪が独立して動くことができることで、走行性能や乗り心地を向上させることができる。

(3)について

縦揺れはピッチングのことである。

(4)について

ロール・センタとはローリングの中心となる点のこと。
一般に、車軸懸架式よりも独立懸架式の方が低い。

覚え方のポイント

ピッチングはボールを投げる動作で、ローリングは右に左に曲がるときの体の揺れのイメージで覚えましょう。
ヨーイングは車を上から見たときの回転方向への動き、バウンシングはバウンドするときの上下揺れのことです。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

車軸懸架式はコストを押さえられる側面もあるため、コンパクトカーや軽自動車に採用されることがあります。

その場合、トーションビーム・サスペンションと呼ばれるタイプが使われることがあり、左右輪を一体でつないではいるのですが、ごついアクスルではなく、車軸がコの字になっており中空になっています。

そのため、独立懸架よりもコストを抑えつつ、車軸懸架よりも柔軟な動きができるようになっていることから、半車軸式とも呼ばれています。

このタイプの注意点は、ジャッキアップをするときに“絶対に車軸で上げないこと”です。
一見ごついアクスルに見えますが、中身がなく中空になっているためアクスルほど強度がありません。

この部分をジャッキで上げてしまい、車重に耐えられずトーションビームが曲がってしまい、サスペンション交換に至ったケースがあります。

トーションビームは、よく見ると中空になっていることは容易に分かりますし、別のジャッキアップポイントが設けられているので、作業するときは注意しましょう。

No.22

【問題】
サスペンションのばねについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)エア・スプリングのばね定数に関する記述
(2)金属ばねの固有振動数に関する記述
(3)エア・スプリングの固有振動数に関する記述
(4)金属ばねの乗り心地に関する記述

覚えておくこと

【ばね定数】
簡単に言うと、1mmたわませるのに必要な力(N)のこと。
単位はN/mmで、仮に1N/mmのばねであれば、1mmたわませるのに1Nの力が必要なばねということです。

つまり、ばね定数が大きければ“硬いばね”、小さければ“柔らかいばね”ということになります。

【固有振動数】
重りを付けたばねに力を加え自由にすると、ばねはその硬さと重さによって決まる固有の振動を始めます。
この固有振動の1秒あたりの振動数を“固有振動数”といい、乗用車の場合、固有振動数は1~2Hz位で、スポーツカーになるともっと高くなります。

エア・スプリングと金属ばねの特徴

2つのスプリングを比較すると、“ばね定数”と“固有振動数”に違いがあります。

【エア・スプリング】
空気をレベリング・バルブで調整することにより、荷重に合わせてばね定数を変化させることができます。

荷重が小さいと柔らかく、荷重が大きくなると硬くしていくことで、固有振動数をほぼ一定に保つことができます。

【金属ばね】
金属ばねは、“ばね定数”が変化することはありません。

元々、最大積載荷重に耐えるように設計されているため、荷重が小さいときは、ばねが硬すぎて固有振動数が大きくなり乗り心地が悪くなります。

(1)について

エア・スプリングのばね定数は、荷重が大きくなると大きくなります。

(2)について

金属ばねの固有振動数は、最大積載荷重に比べて軽荷重のときは大きくなります。

(3)について

エア・スプリングは、荷重に応じてばね定数を変化させることで、固有振動数をほぼ一定に保つことができます。

(4)について

金属ばねは最大積載荷重に耐える設計のため、荷重が小さいときにばねが硬すぎることで乗り心地が悪くなります。

覚え方のポイント

エア・スプリング:ばね定数は変化、固有振動数は一定。

金属ばね:ばね定数は一定、固有振動数は変化。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

エアサスとも呼ばれるエア・スプリング式サスペンション。

乗り心地が良い一方で、ゴム製のエアバッグに空気を入れる構造のため、経年劣化によりゴムの破損などのリスクがあります。

また、リフトアップの際には、タイヤが地面から離れることでサスペンションの破損・故障を防ぐため、リフトアップ前にエアサス車特有の操作が必要になる場合がありますので注意しましょう。

No.23

【問題】
CVTについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)プライマリ・プーリの作動に関する記述
(2)スチール・ベルトの動力伝達に関する記述
(3)プライマリ・プーリの作動に関する記述
(4)CVTの制御に関する記述

CVTとは

CVTはContinuously Variable Transmissionの頭文字で、無段階変速機のことです。

CVT内部は、2つのプーリをスチール・ベルトでつなぐ構成になっており、プーリにかかる油圧を制御しプーリの溝幅を変えることで、スチール・ベルトの接触半径を変化させています。

ギヤによる変速ではないため変速に切れ目がなく、減速から増速状態までなめらかに変速をしていくことが可能です。

CVT制御

(1)について

図のとおり、プーリに油圧をかけると溝幅が狭くなり、スチール・ベルトの接触半径は大きくなります。

(2)について

スチール・ベルトは、エレメントの圧縮作用(エレメントの押し出し)によって動力を伝達しています。

(3)について

プーリ比がLowのときはプーリの油圧を抜き、遠心力によって溝幅は広くなります。

(4)について

L(Low)レンジは強い駆動力やエンジン・ブレーキを得るため、プーリ比を最Low付近に制限した制御になります。

覚え方のポイント

油圧と溝幅の変化の問題で間違ってしまうことが多いです。
プーリの直径を変えることはできません。
あくまでも、ベルトのかかる位置で接触半径を変えているのです。

ペンを親指と人差し指で持ち、指に力を入れて近付けるとペンは持ち上がり、指を離すとペンは下に落ちてきます。
ペンをスチール・ベルトに見立て、油圧を指の力と考えると理解しやすいかもしれません。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

CVTにはCVTフルードが使われますが、高い油圧制御が行われている多、有段変速のステップATよりも過酷な環境です。

スチール・ベルトが切れてしまったり、擦り減った鉄粉による変速機不良の事例をこれまで見てきました。

ミッションのことを考えると、メーカー指定では無交換や10万km交換になっている場合でも、4年または4万kmくらいのスパンで交換してあげた方がいいでしょう。

No.24

【問題】
CAN通信についての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)各ECUの情報送信に関する記述
(2)通信エラーに関する記述
(3)ECUの複数受信に関する記述
(4)通信状態の用語に関する記述

CAN通信とは

CAN通信はController Area Networkの頭文字で、多重通信方式の一つです。
通信効率を上げ、配線を減らすことにもつながるため、多くの車両で採用されています。

大まかな構成としては、核となる2つのメインECU(エンジンとメータが多い)にセンサ信号を集め、メインECU間で信号を共有します。
その2つにぶら下がる形で、その他のECU(サブECU)があり、サブECUたちは必要なときに必要な信号を拾うようなイメージです。

例えば冷却水温ですが、エンジンECU以外にも様々なECUが必要としている信号です。
水温センサから各ECUへ信号を送ると、それぞれに配線の接続が必要になりますが、2本のバス・ライン(CAN-H、CAN-L)に乗せて各センサの信号をぐるぐる回しておけば、同じく2本のバス・ラインでつながったECU達は状況に応じた信号を最小の配線でもらうことができます。

CAN通信は回転ずしのようにネタがぐるぐるまわっていて(メイン・バス・ライン)、お客さん(サブ・バス・ライン)が好きなものを取るイメージです。

また、それぞれの信号は電圧の組み合わせによりやり取りされており、レセシブやドミナントの文言も試験に出題されます。

CAN通信

(1)について

各ECUは、センサの情報をデータ・フレームとしてバス・ライン上に定期送信しています。

(2)について

エラーを検知し、リカバリしてもエラーが解消しない場合に通信を停止することを“バス・オフ”状態といいます。

(3)について

一つのECUが複数のデータ・フレームを送信したり、複数のECUが同時にデータ・フレームを受信することができます。

(4)について

電圧によるレセシブとドミナントの状態を覚えておきましょう。

覚え方のポイント

レセシブ、ドミナントの勘違いによる間違いが多いので注意です。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

CAN通信は経年劣化による不具合はほぼないですが、事故の影響でバス・ラインの配線が損傷し、通信不良になることでエンジンがかからなかったり、電気装置が作動不良になる事例がありました。

CAN通信が絡んでいるトラブルは、スキャンツールの通信診断機能やデータ・モニタなどを活用しないと、なかなか原因が辿り着けません。

また、後付けの装置(特にDLCにつなげるタイプのレーダーなど)によって、通信不良になることも時々ありました。
常に不具合が発生するのではなく、時々しか症状が出ないことから沼にハマっていくこともありましたので、部品接続の際は注意しましょう。

No.25

【問題】
タイヤについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)スキール音に関する記述
(2)タイヤのアンバランスに関する記述
(3)偏平率に関する記述
(4)タイヤの用語に関する記述

タイヤ

(1)について

急発進、急制動、急旋回時などに「キー」と鳴るのがスキール音です。
タイヤのトレッドが、路面に対して局部的に振動を起こすことで音が出ます。

(2)について

スタティックとダイナミック、2つのアンバランスの違いを押さえましょう。

(3)について

偏平率を小さくすると、タイヤの高さが低くなり幅広タイヤになることで、横剛性は高くなり、旋回性能は向上します。

(4)について

タイヤのユニフォミティとは、タイヤを構成している様々な要素を含んだ用語です。

覚え方のポイント

スタティック・アンバランスはタイヤの縦振れ(上下)につながり、ダイナミック・アンバランスはタイヤの横振れ(左右)につながります。

偏平率が大きい・小さいの勘違いによる間違いが多いので注意です。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

以前、リヤ2本だけを海外製の格安タイヤに交換した車で、約100km/hを超えたときにABSランプが点灯するというトラブル事例がありました。

原因はフロントとリヤ・タイヤの“外径の違い”。

車速は4輪に取り付けられた車輪速センサでカウントされていますが、元々付いていたタイヤよりも交換したタイヤの外径が約2cm大きかったことで、前後のタイヤに回転差が生じ、ABS装置が異常を検知したという流れです。

原因が分かるまで様々な点検を行う必要があり、大きな手間がかかりました。

タイヤにはわずかながら外径の差があります。
同じメーカーの同銘柄で揃えることで誤差のリスクを減らせるため、タイヤ交換の際は注意しましょう。

No.26

【問題】
スキャンツールについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)作業サポートに関する記述
(2)ダイアグノーシスに関する記述
(3)フリーズ・フレーム・データに関する記述
(4)データ・モニタに関する記述

スキャンツールの基本機能についての問題です。
以下の内容を理解しておきましょう。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

スキャンツールの基本機能
  • ダイアグノーシス確認・消去
  • ECUデータ・モニタ確認
  • フリーズ・フレーム・データ(FFD)確認
  • アクティブ・テスト
  • 作業サポート

それぞれ説明していきます。

ダイアグノーシスとは?

自己診断機能のことで、センサやアクチュエータに異常が発生したとき、ECUがその異常を検知・記憶する機能です。

異常状態を表す個別のコードは“ダイアグノーシス・コード”と呼ばれ、1つのアルファベットと複数の数字で構成されており、部品や系統ごとに分類されています。

コード例:P0123 [水温センサ断線]

【ダイアグノーシス・コードの系統分類】
P:パワー・トレイン系統(エンジン、トランス・ミッションなど)
C:シャシ系統(ABS、パワー・ステアリングなど)
B:ボディ電装系統(SRS、パワー・ウインドーなど)
U:ネットワーク系統(CAN通信など)

ダイアグノーシス・コードを記憶している場合、不具合箇所の絞り込みに大変有効です。
現在の車両のトラブル診断は、まずダイアグノーシス確認から始まります。

修理後などにはダイアグノーシス・コードを消去する必要がありますので、消去作業もスキャンツールで行います。

消去操作を行うと、ダイアグノーシス・コードとフリーズ・フレーム・データが消去されますが、バッテリを外すわけではないので、時計やラジオの再設定などは必要ありません。

ECUデータ・モニタとは?

電子制御部品を動かす流れは、センサ→ECU→アクチュエータとなっており、人間に当てはめるとセンサは目や耳、ECUは頭脳、アクチュエータは手や足のようなイメージです。

例えば、ドアを開ける動作だと、

  1. “目”でドアノブの位置や鍵の状態を確認。【センサ
  2. 「手で開ける」「手を前に出す」など、頭で考える。【ECU
  3. “手”で鍵を開けドアノブを握ってドアを開ける。【アクチュエータ

電子制御装置も同じように、水温を検出して冷却ファンを回すなどの動作を一連の流れで行っています。

ECUには様々なセンサから信号が入力され、プログラムを演算処理したあと、アクチュエータに作動信号を出力しています。

入力や出力の信号(データ)を確認する(モニタ)ことを“データ・モニタ”と言います。
生データやライブ・データ確認などと呼ばれることもあります。

入力データ表示例:水温センサ温度 90℃
出力データ表示例:冷却ファン作動信号 ON(12V出力時にON表示)

これらを確認することで、不具合原因の診断を効率よく進めることができます。

フリーズ・フレーム・データとは?

ダイアグノーシスを記憶した瞬間、またはその前後のECUデータのことです。フリーズ・データや頭文字をとってFFDとも呼ばれます。

使いどころとしては、ダイアグノーシス・コードは記憶しているけど、現在は不具合が発生していない場合などです。

ダイアグノーシス・コードを記憶していても、中には一時的な不具合や数日に一度など、診断する時点で正常な車両もあります。

その状態のECUデータを確認しても正常なデータしか表示されませんので、異常が発生したときのECUデータを確認することで故障原因にたどり着けることがあります。

フリーズ・フレーム・データは、ダイアグノーシス・コードにくっついて記憶されているため、ダイアグノーシス・コードを消去すると同時に消えてしまいます。
そのため、ダイアグノーシス・コードを消去する前に確認することが重要です。

アクティブ・テストとは?

本来の作動条件じゃなくてもアクチュエータを動かすことができる機能で、作動や機能の点検を行うことができます。

例えばパワー・ウインドーが動かない場合、不具合箇所として考えられるのは、[パワー・ウインドー・モータ、スイッチ、配線、ECU、機械的な作動部分]と複数の箇所があります。

そこで、モータが正常に作動するかを確認するためには、バッテリ電源を直接モータへ接続します。
しかし、モータへアクセスするためには内張りを外す作業が必要になるため、ECUの代わりにスキャンツールからモータへ作動信号を出力することで、作業の効率化が図れます。

車両の年式や装置によって、対応・非対応など様々ありますが、状況に合わせて使いこなすことで、作業効率が上がることは事実です。

作業サポートとは?

バッテリ交換後のデータ・リセットや電子制御装置のアイドリング学習など、部品を交換したときなどに必要になる作業を、電源を遮断することなくスキャンツールで行うことができます。

ECUが学習している数値をクリアする場合は、バッテリの電源を遮断しないとできないような作業もあります。
電源を遮断してしまうと時計やラジオの再設定が必要になるため、作業サポート機能を活用することで作業効率が上がります。

また、スキャンツールでしか行えない設定作業も多く、現在の整備はスキャンツールが必要不可欠になりつつあります。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

電子制御装置が満載の現在は、スキャンツールがないと診断が不可能というケースが増えています。

その中でも、フリーズ・フレーム・データが見れないと詰み。という事例が、“ハイブリッド・バッテリ異常”のトラブルです。

ハイブリッド・バッテリは消耗品のため、一定以上劣化したときにはECUがダイアグノーシス・コードを記憶し、車両を退避走行モードにします。

バッテリ異常のダイアグノーシス・コードが発生したときに考えられる原因は2つ。
『バッテリ本体』『バッテリの電圧を見ているセンサ』のどちらかです。

過去の事例では、バッテリ本体の不具合が圧倒的に多いのですが、電圧センサではないという確たる裏付けがないと交換には踏み切れません。

しかし、バッテリの特性上、悪くなったらなりっぱなしではなく、少し時間が経過すると正常値に戻り、数日後や数週間後に再び異常な値になることが多いです。

そうすると、はじめにダイアグノーシス・コードを記憶し異常な状態になったあと、入庫したときには正常になっているパターンがあります。

そのときの車両の状態は、“ダイアグノーシス・コードは記憶しているけど、ECUデータは正常”です。
その状態で、ECUデータとどれだけにらめっこしても、2つの原因のどちらかを絞り込むことはできません。

そこで、フリーズ・フレーム・データを使います。

ダイアグノーシス・コードを検出した時点のデータを確認することで、バッテリ本体なのか電圧センサの不具合なのかを確実に切り分けることができます。

そのため、「とりあえずコードを消して再発するか様子を見るか?」と、安易にダイアグノーシス・コードを消去してしまうと、フリーズ・フレーム・データも同時に消えてしまうので、次に症状が出るまで“診断不能”の状態に陥ってしまいます。

コード消去の前には、スキャンツールにデータを保存するなどして診断ができる状態を作ることが超重要です。

No.27

【問題】
オート・エアコンのセンサについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)エバポレータ後センサの役割に関する記述
(2)外気温センサの役割に関する記述
(3)日射センサの構造に関する記述
(4)内気温センサの機能に関する記述

オート・エアコン制御とは?

室内の温度を最速で“設定した温度”にしてくれる制御です。
外気温や内気温など様々なセンサを使い、状況に合わせた制御を行います。

また、エアコンの問題には“冷凍サイクル”と呼ばれる、冷風を作り出すための流れが出題されることもあるので、エアコンの基本となる“冷凍サイクル”についても押さえておきましょう。

冷凍サイクル
冷凍サイクル

エアコン・ガス(以下:冷媒)の流れ。

  1. コンプレッサで圧縮され、高温・高圧の気体になる。
  2. コンデンサで冷却すると、冷媒の特性により気体から液体へ変化。
  3. レシーバ・ドライヤで気体と液体を分離。液体だけが先へ進む。
  4. エキスパンション・バルブで液体の冷媒を噴射
  5. 冷媒はエバポレータ内で気化していく。
  6. 気化時、周囲との熱交換により、エバポレータが冷やされる
  7. そこにブロワの風を当てることで、冷風が室内へ運ばれる。
  8. 冷媒はコンプレッサへ戻り、再び圧縮される。

※ガス圧の目安は、高圧は外気温の約2分の1(外気温30℃時なら15kg/㎡)、低圧は高圧の約10分の1(高圧が15kg/㎡のときは1.5kg/㎡)となります。

(1)について

冷風の源であるエバポレータは、冷媒と周囲の空気の熱交換によりキンキンに冷えます。
何もせずにサイクルを回し続けていると、エバポレータが冷えすぎることで霜が付着したり、サイクル内の凍結につながるおそれがあるため、エバポレータ通過後の空気温度によって、コンプレッサの圧縮度合いを制御しています。

(2)について

外気温センサは室外に取り付けられています。
フロント・バンパー付近に付いていることが多く、温度により抵抗値が変化するサーミスタを使って外気温を検出しています。

(3)について

日射センサは、日差しの強弱によって風量を調整するために使われます。
センサ内部のフォト(受光)・ダイオードで、日射量を検出しています。

(4)について

内気温センサは室内に取り付けられており、センサ内部は外気温センサと同じくサーミスタが使われています。
室内の空気をセンサ内部に取り入れることで、内気温を検出しています。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

エアコン冷え不良などのトラブルは、ガス圧を見ることから始まります。

ゲージ・マニホールドというエアコン専用の工具を使い、高圧と低圧のガス圧を見ていきます。

これまでの不具合事例では、エアコン・ガスの不足が原因であることも多くありました。
不具合症状だけを見て、「これは〇〇が怪しい」と先入観で決めつけてしまい、無駄な点検や交換作業の結果、原因はガス不足ということもありますので、基本を大切に進めていきましょう。

No.28

【問題】
ABSについての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)タイヤのスリップ率に関する記述
(2)ECUの判断基準に関する記述
(3)ハイドロリック・ユニットの作動に関する記述
(4)ABS故障時の動作に関する記述

ABSとは?

【概要】
ABSはAnti-lock Brake Systemの頭文字で、制動力と操舵性を確保するため、急ブレーキ時などにタイヤがロックしないように制御するシステムです。

タイヤがロックすることでスリップしてしまい、制動距離が長くなるだけでなく、車両が操作不能になってしまうこともあるため、ロック防止を図ることが重要になります。

制動力と操舵性(コーナリング・フォース)を両立させるための車輪の“スリップ率”は、約20%が最大となるため、約20%のスリップ状態を目標に、ブレーキ油圧を増減しながら調整するための油圧機構=ハイドロリック・ユニットが取り付けられています。

つまり、ドライバーがブレーキを踏んだ力がそのまま車輪のブレーキ装置に伝わるのではなく、ハイドロリック・ユニットで安全上最適に調整されたもので車両を止めにいっています。

【制御】
各車輪には車輪速センサが取り付けられ、4つの車輪の回転状況が常時ECUへ入力されます。

ECUは、回転信号のほかにブレーキ信号やエンジンの各信号を加味し、“このままだとロックする”という状況になると、ハイドロリック・ユニットへ減圧信号を出力し、ブレーキ油圧を弱めて車輪ロックを防ぎます。(減圧制御

その後、制動力が低下すると、ハイドロリック・ユニットは内蔵されたモータで高めた油圧を解放し、ブレーキ油圧を増圧することでブレーキ力を強めます。(増圧制御

また、減圧も増圧もせず、そのままの油圧を保持する状態(保持状態)も存在するため、ハイドロリック・ユニットの制御としては、増圧・減圧・保持の3つがあります。

【異常時の対応】
車輪速センサやハイドロリック・ユニット内部などに異常が発生した場合は、メータ内のABSランプが点灯し、ドライバーがブレーキを踏んで発生した油圧がそのまま各車輪に伝わるようになります。
車輪ロック防止の制御は働きませんが、ブレーキがまったく効かなくなることはありません。

ABS

(1)について

制動力と操舵性を両立させるスリップ率は20%と覚えておきましょう。

(2)について

ECUの制御信号によって、ハイドロリック・ユニットは油圧制御を行います。

(3)について

ハイドロリック・ユニットは油圧制御を行う装置で、エンジンの出力制御は行いません。

(4)について

ABS系統に異常が発生した場合は、ドライバーの踏力によるブレーキ操作となり、ABS装置の作動は停止します。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

ABS装置に多いのは誤作動トラブルです。
症状としては、ブレーキを踏んだとき急ブレーキではないにも関わらず、ABSが作動したときのようにブレーキ・ペダルがブルブルと振動します。

原因は車輪速センサの汚れ。

車輪速センサは、内蔵されたマグネットと車輪に取り付けられているロータの回転により磁力変化を起こすことで回転信号を検出していますが、センサの先端にブレーキ・ダストなどの汚れが堆積することで、回転信号にずれが生じ、ロックする状況ではないのにABS装置の増圧・減圧制御が入ってしまうことがあります。

診断方法としては、スキャンツールで4輪の車輪速データを確認します。
通常は4輪とも車速に応じて同じように変化していきますが、違う動きをしている車輪があれば、該当するセンサを点検します。

センサの清掃で改善した例は多くありますので、装置の理解とスキャンツールを使いこなすことで、絞り込みが容易になります。

No.29

【問題】
タイヤのスリップ率についての問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

グラフについて

まず、このグラフには以下4種類の曲線が描かれています。

  • 路面の摩擦係数が高いブレーキ性能曲線
  • 路面の摩擦係数が高いコーナリング性能曲線
  • 路面の摩擦係数が低いブレーキ性能曲線
  • 路面の摩擦係数が低いコーナリング性能曲線

ブレーキ性能曲線2つとコーナリング性能曲線2つです。
それぞれ摩擦係数が高いものと低いものがあるので、計4本となります。

覚え方のポイント
  1. コーナリング曲線は無視。
  2. グラフ横軸のスリップ率約20%のところを見る。
  3. 4つの線のうち、縦軸の摩擦係数が最大になっている2本の線が“ブレーキ性能曲線”で、摩擦係数が高いか低いは見た目どおり。
  4. 問題文で聞かれている曲線は、“ブレーキ”か“コーナリング”か。
  5. ブレーキ曲線は約20%が最大になることを覚えておく。

【正解】(1)

No.30

【問題】
SRSエア・バッグについての問題です。
間違っている記述を選択します。

(1)交換時の注意に関する記述
(2)作動条件に関する記述
(3)ECUに内蔵されているセンサに関する記述
(4)点検時の注意に関する記述

(1)について

エア・バッグ交換時は、作動の信頼性を確保するため、必ず新品を使用します。

(2)について

車両へ規定値以上の衝撃が加わったときに作動する装置です。

(3)について

ECUは、衝撃を検知するGセンサと判断/セーフィング・センサを内蔵しており、そのほか車両には、複数の衝撃(インパクト)センサが取り付けられています。

(4)について

エア・バッグを構成している部品の抵抗点検は厳禁です。

抵抗の点検は、テスタ内部の乾電池から測定物に電気を流しています。
わずかではありますが、エア・バッグの部品に電気が流れると誤作動するおそれがあるため、抵抗点検はNGとなっています。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

エア・バッグのトラブルで多いのは、スパイラル・ケーブルの断線です。

ハンドルを回しても配線が切れないよう、ハンドル部分に仕込まれたケーブルですが、経年劣化などにより断線することがあります。

断線したことによりダイアグノーシス・コードを記憶しますが、コードの内容は『運転席エア・バッグ系統』と表示されます。
ここで、運転席のエア・バッグ本体を交換しても不具合は治りません。

ECU~運転席エア・バッグ間の配線を点検することが必要です。

また、クラクションが鳴らないという症状がくっついて出ることもあるため、エア・バッグのトラブルのときは鳴らしてみてください。

No.31~35

No.31

【問題】
電気回路の計算問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

電気回路の計算問題には、オームの法則の理解が不可欠です。
電圧・電流・抵抗の3つを押さえた上で、電力の求め方を加えて解いていきます。

オームの法則
計算式
  1. 12V÷3Ω=4A
  2. 12V×4A=48W
  3. 48W×3 hour(時間)=144W・h

【正解】(4)

No.32

【問題】
フレミング左手の法則の問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

フレミングの法則には右手と左手があり、それぞれ親指・人差し指・中指に当てられているものを覚えます。

フレミング右手の法則

親指:運動、人差し指:磁力線、中指:起電力

フレミング左手の法則

親指:電磁力、人差し指:磁力線、中指:電流

この手の問題は覚えておくしかないので、自分なりの覚え方で暗記しておきましょう。

【正解】(2)

【hanabiの覚え方】

右手の法則は、親指から順に運・磁・起(うんじき)、左手の法則は、中指から順に電・磁・力(でんじりょく)と覚えていました。

No.33

【問題】
鋼の熱処理についての問題です。
正しい記述を選択します。

(1)焼き戻しに関する記述
(2)窒化に関する記述
(3)浸炭に関する記述
(4)高周波焼き入れに関する記述

(1)、(2)、(3)、(4)共通

熱処理の種類

【焼き入れ】
鋼をある温度まで加熱したあと、水や油などで急に冷却する操作。
炭素含有量が多い鋼ほど硬さ・強さは増す一方、材質がもろくなる。

【焼き戻し】
焼き入れによるもろさを緩和し、粘り強さを増すため、ある温度まで加熱したあと、徐々に冷却する操作。

【表面硬化処理】
鋼の粘り強さを保持したまま、その表面層だけを硬化させる操作。

【高周波焼き入れ】
高周波電流で鋼の表面層を加熱処理する焼き入れ操作。

【浸炭】
鋼の表面層の炭素量を増加させて硬化させるため、浸炭剤の中で焼き入れ・焼き戻し操作を行う加熱処理。

【窒化】
鋼の表面層に窒素を染み込ませ硬化させる操作。

覚え方のポイント

それぞれの熱処理には名称があり、その名称と操作手順には言葉の共通点があります。
その言葉をキーワードとして覚えておきます。

また、いくつかの熱処理には『鋼の表面層を・・』とあります。
『鋼の中心部まで・・』という引っかけ問題もあるので、表面層だけという点を覚えておきましょう。

【正解】(1)

No.34

【問題】
エンジン・オイルの添加剤についての問題です。
粘度指数向上剤の説明として適切な記述を選択します。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

エンジン・オイルの添加剤

【油性向上剤】
オイルの金属表面に対するなじみを良くし、強固な油膜を張らせる。

【粘度指数向上剤】
温度変化に対しても適正な粘度を保って潤滑を完全にし、寒冷時のエンジン始動性も良好にする。

【摩耗防止剤】
しゅう動(こすれ合う)による摩耗を防ぐ

【腐食防止剤】
燃料生成物およびオイルの劣化物によって、シリンダ壁面やその他の摩擦部が腐食されることを防止する。

【流動点降下剤】
エンジン・オイルが冷却された際、オイルに含まれるろう(ワックス)分が結晶化するのを抑え、オイルの流動性を保つ作用によりオイルの流動点を低くする。

【清浄分散剤】
エンジン・オイル中に混入する炭素やスラッジを油中に遊離させる作用により、エンジン内部を清浄な状態に保ち、ピストン・リングの固着や軸受けの焼き付きなどを防止する。

【酸化防止剤】
エンジン・オイルが酸化すると、酸・ワニス・樹脂状物質を生成して粘度が増加し潤滑性が低下するとともに、腐食や摩耗を促進させるため、エンジン・オイルの酸化を抑制する。

【消泡剤】
クランク・シャフトによる激しいかくはんによって気泡が発生すると、オイル・ポンプが各潤滑部にオイルを圧送できなくなるため、気泡の発生を防止する。

覚え方のポイント

それぞれの添加剤の名称と役割には言葉の共通点があります。
その言葉をキーワードとして覚えておきましょう。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

エンジン・オイルは、人間でいうと血液にあたるものです。

エンジンに合った粘度は特に重要で、サラサラすぎてもドロドロすぎても不具合につながります。
メーカ指定がサラサラ粘度のオイルでも、高速走行が多いなど、車両の使い方によっては硬めの粘度のオイルを使った方がいいこともあります。

問題にもあるように、エンジン・オイルには種々の添加剤が使われているため、定期的な交換が最も重要になります。
エンジン・オイル交換を怠ったために、トラブルにつながった事例は数え切れないほど見てきました。

No.35

【問題】
軸重の計算問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

軸重の考え方
計算式
覚え方のポイント

軸重の計算問題は“力×距離”を等式にして解いていきます。

計算式を作るときには、てこの原理に当てはめて、支点・力点・作用点として考えると分かりやすいです。

【正解】(3)

No.36~40

ここからの5問は法令問題です。
暗記科目にはなりますが、整備士として活動していく中で必要な知識も多数出てくるため、この機会にしっかり覚えていきましょう。

【参考】国交省の条文掲載サイトは以下になります。

車両法

車両法 施行規則

自動車点検基準

保安基準

No.36

【問題】
自動車検査証記録事項の変更に関する問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

車検証の記録事項の変更とは?

【車両法:第67条1項】
自動車の使用者は、自動車検査証記録事項について変更があったときは、その事由があった日から15日以内に、当該変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の変更記録を受けなければならない。ただし、その効力を失っている自動車検査証については、これに変更記録を受けるべき時期は、当該自動車を使用しようとする時とすることができる。

自動車検査証記録事項とは?

使用者の氏名(苗字が変わるなど、人は変わらない)や店舗名の変更など、車検証情報において軽微な変更のこと。

臨時検査【車両法:第63条第1項】

国土交通大臣は、一定の範囲の自動車又は検査対象外軽自動車について、事故が著しく生じている等によりその構造、装置又は性能が保安基準に適合していないおそれがあると認めるときは、期間を定めて、これらの自動車又は検査対象外軽自動車について次項の規定による臨時検査を受けるべき旨を公示することができる。

ポイント
  1. 使用者所有者を間違えないようにしましょう。
    車は財産になるため、所有者が変わることは軽微ではなく重大変更です。重大変更の場合は、変更登録手続きが必要になります。
  2. 手続きを行うべき日数として、“15日以内”や“30日以内”が出てきます。その中でも“15日以内”が多く、工場の改装など設備に関するものは“30日以内”となっています。

【正解】(1)

【hanabiの現場メモ】

問題に出てきた臨時検査は法律上現存していますが、実施されたのは昭和の時代に一度だけ。
LPG装置に不具合が疑われ、臨時検査が行われています。

現在の装置不具合においては、“臨時検査”ではなく“リコール”で処理されているため、『臨時検査は制度だけが残っている』と覚えておいていいでしょう。

No.37

【問題】
後退灯の基準に関する問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

【保安基準:第40条】
自動車には、後退灯を備えなければならない。ただし、二輪自動車、側車付二輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、小型特殊自動車並びに幅0.8m以下の自動車並びにこれらにより牽引される被牽引自動車にあっては、この限りでない。

後退灯は、自動車の後方にある他の交通に当該自動車が後退していることを示すことができ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

【細目告示:第214条】
後退灯は、昼間にその後方100mの距離から点灯を確認できるものであり、かつ、その照射光線は、他の交通を妨げないものであること。

後退灯の灯光の色は、白色であること。

灯器が損傷し又はレンズ面が著しく汚損しているものでないこと。

後退灯の数は、長さが6mを超えない自動車であれば1個又は2個
6m超え(乗車定員10人以上の乗用、貨物の運送の用に供する自動車)は2個、3個又は4個。

照明部の上縁の高さが地上1.2m以下、下縁の高さが0.25m以上となるように取り付けなければならない。

ポイント

灯光の色は白のみ。白または淡黄色ではないので注意。

後退灯は昼夜問わず使うので、昼間に後方100mから確認できること。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

灯火の原則として、“前方の赤”・“後方の白”はNGです。
これは、進行方向の灯火色は白、ストップ・ランプの灯火色は赤と定められているためです。

暗いときや遠くから見たときに車両が止まっているのか、こちらに向かってきているのか分からなくなり事故につながる危険性があるため、前後に認められている灯火色には制限があります。

しかし、後退灯(バック・ランプ)は、進行方向に対しての灯火になるため、後方の白が認められています。

No.38

【問題】
特定整備事業の認証に関する問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

特定整備事業者の遵守事項【施行規則:第62条の2の2】
事業場ごとに、当該事業場において特定整備に従事する従業員であって……少なくとも1人に特定整備及び法第91条の特定整備記録簿の記載に関する事項を統括管理させること。
統括管理する者は“整備主任者”という。

整備主任者以外

自動車検査員【車両法:第94条の4】
指定自動車整備事業者は、事業場ごとに、自動車の検査について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者のうちから、自動車検査員を選任しなければならない。

整備管理者【車両法:第50条】
自動車の使用者は、自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるため、自動車の点検及び整備に関し特に専門的知識を必要とすると認められる車両総重量8t以上の自動車その他の国土交通省令で定める自動車であって国土交通省令で定める台数以上のものの使用の本拠ごとに、自動車の点検及び整備に関する実務の経験その他について国土交通省令で定める一定の要件を備える者のうちから、整備管理者を選任しなければならない。

ポイント

自動車検査員は国の代わりに自動車の検査を行うポジションで、認証工場には不要ですが、指定工場では必ず選任が必要です。

整備管理者は、運送会社など国交省令で定める一定数以上の車両を使用している事業者において、自動車の点検・整備や運行の管理などを行います。

【正解】(2)

【hanabiの現場メモ】

自動車を公道で使用するための登録に必要なことは、“点検・整備・検査”の3つです。

認証工場は、“点検・整備”を自社で行い、“検査”は国の検査場へ車両を持ち込みます。
点検・整備が適切に実施されているかを統括管理する『整備主任者』の選任が必要です。

指定工場は『民間車検工場』とも呼ばれ、自社で“点検・整備・検査”すべてを行うことができる工場です。
整備主任者の選任に加え、国の代わりに“検査”を行うための検査機器の設備、自動車検査員の選任が必須となります。

すべての整備工場は認証工場から始まります。
まずは国から認証を受け、所定の実績と組織体制を国から認められることで、指定工場として運営できるようになります。

No.39

【問題】
日常点検の点検内容に関する問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

日常点検とは?

車両法第47条の2で規定される自動車の使用者自らが行う点検のことで、ライト周りやブレーキ装置など、使用者が行うための点検基準は自動車点検基準の法律によって設定されています。

点検内容は別表で示されており、自家用乗用・貨物・事業用など車両の用途によって点検内容が異なります。

ポイント

日常点検とは別に、定期点検があります。
日常点検はユーザーが、定期点検は整備士が行うものです。

つまり、日常点検は比較的簡単な内容ということになりますので、問題を解くときは、選択肢の中から点検内容が簡単なものを探しましょう。

【正解】(3)

【hanabiの現場メモ】

日常点検は法律で定められているユーザー(使用者)の義務ですが、行っていなかったとしても罰則はありません。
しかし、車を安全に長く乗るために日常の点検は重要です。

そのため、定期点検や車検などの入庫時に、日常点検の内容や実施時期(洗車時や遠出前など)の説明を行うことで、顧客の信頼につながっていきます。

No.40

【問題】
方向指示器に関する問題です。
正しい選択肢を選びます。

(1)、(2)、(3)、(4)共通

方向指示器《条文抜粋》
【保安基準:第41条】
自動車(一部除外あり)には、方向指示器を備えなければならない。

方向指示器は、自動車右左折又は進路の変更をすることを他の交通に示すことができ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

【細目告示:第215条】
方向の指示を表示する方向100m……の位置から、昼間において点灯を確認できるものであり、かつ、その照射光線は、他の交通を妨げないものであること。

灯光の色は橙色であること。

灯器の損傷、又はレンズ面が著しく汚損していないこと。

自動車の車両中心線上の前方及び後方30mの距離から照明部が見通すことのできる位置に少なくとも左右1個ずつ備えること。

ポイント

方向の指示を表示する方向100mと、車両中心線上の前方・後方30mからの2つの視認要件があるので注意しましょう。

【正解】(4)

【hanabiの現場メモ】

シーケンシャル・ウインカー、いわゆる流れるウインカーを後付けした車両の車検基準の問い合わせは多くありました。

点滅時は一度すべてが消灯すること、ドアミラー・ウインカーの場合は、個数制限や前後からの視認要件を満たすことなど、検査員でも現車を見ないと判断が難しいケースがありました。

基準を満たしていないと、安全性が損なわれ車検にも通らなくなるため、後付けする場合には注意が必要です。

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hanabi
2級自動車整備士の資格を取得後、整備技術のアドバイザーとして15年間従事。同時に一級整備士指導員・整備士を対象とした国家試験対策講習会・整備技術研修会の講師として活動。
これまでの経験を活かし、自動車整備士の国家試験問題に対する “簡単な解き方や分かりやすい覚え方” を盛り込んだ解説をしています。
これから資格取得を目指す人のため、『どこよりも丁寧で分かりやすい解説』を目指しているブログです!
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