【2級ガソリン:ブレーキ装置】
このページでは、ブレーキ装置の過去問題を掲載しています。
分かりやすくお伝えするため、要約により構成しています。
覚えやすさを優先しているため、独自の解釈があったり言葉足らずの部分もあるかと思いますが、試験に合格することを第一の目標としているためご理解ください。
正式な試験問題と解答は、日本自動車整備振興会連合会のホームぺージよりご確認ください。
令和7年度第1回 No.28
【問題】
ABSについての問題です。
正しい記述を選択します。
(1)タイヤのスリップ率に関する記述
(2)ECUの判断基準に関する記述
(3)ハイドロリック・ユニットの作動に関する記述
(4)ABS故障時の動作に関する記述
【概要】
ABSはAnti-lock Brake Systemの頭文字で、制動力と操舵性を確保するため、急ブレーキ時などにタイヤがロックしないように制御するシステムです。
タイヤがロックすることでスリップしてしまい、制動距離が長くなるだけでなく、車両が操作不能になってしまうこともあるため、ロック防止を図ることが重要になります。
制動力と操舵性(コーナリング・フォース)を両立させるための車輪の“スリップ率”は、約20%が最大となるため、約20%のスリップ状態を目標に、ブレーキ油圧を増減しながら調整するための油圧機構=ハイドロリック・ユニットが取り付けられています。
つまり、ドライバーがブレーキを踏んだ力がそのまま車輪のブレーキ装置に伝わるのではなく、ハイドロリック・ユニットで安全上最適に調整されたもので車両を止めにいっています。
【制御】
各車輪には車輪速センサが取り付けられ、4つの車輪の回転状況が常時ECUへ入力されます。
ECUは、回転信号のほかにブレーキ信号やエンジンの各信号を加味し、“このままだとロックする”という状況になると、ハイドロリック・ユニットへ減圧信号を出力し、ブレーキ油圧を弱めて車輪ロックを防ぎます。(減圧制御)
その後、制動力が低下すると、ハイドロリック・ユニットは内蔵されたモータで高めた油圧を解放し、ブレーキ油圧を増圧することでブレーキ力を強めます。(増圧制御)
また、減圧も増圧もせず、そのままの油圧を保持する状態(保持状態)も存在するため、ハイドロリック・ユニットの制御としては、増圧・減圧・保持の3つがあります。
【異常時の対応】
車輪速センサやハイドロリック・ユニット内部などに異常が発生した場合は、メータ内のABSランプが点灯し、ドライバーがブレーキを踏んで発生した油圧がそのまま各車輪に伝わるようになります。
車輪ロック防止の制御は働きませんが、ブレーキがまったく効かなくなることはありません。

(1)について
制動力と操舵性を両立させるスリップ率は20%と覚えておきましょう。
(2)について
ECUの制御信号によって、ハイドロリック・ユニットは油圧制御を行います。
(3)について
ハイドロリック・ユニットは油圧制御を行う装置で、エンジンの出力制御は行いません。
(4)について
ABS系統に異常が発生した場合は、ドライバーの踏力によるブレーキ操作となり、ABS装置の作動は停止します。
【正解】(2)
ABS装置に多いのは誤作動トラブルです。
症状としては、ブレーキを踏んだとき急ブレーキではないにも関わらず、ABSが作動したときのようにブレーキ・ペダルがブルブルと振動します。
原因は車輪速センサの汚れ。
車輪速センサは、内蔵されたマグネットと車輪に取り付けられているロータの回転により磁力変化を起こすことで回転信号を検出していますが、センサの先端にブレーキ・ダストなどの汚れが堆積することで、回転信号にずれが生じ、ロックする状況ではないのにABS装置の増圧・減圧制御が入ってしまうことがあります。
診断方法としては、スキャンツールで4輪の車輪速データを確認します。
通常は4輪とも車速に応じて同じように変化していきますが、違う動きをしている車輪があれば、該当するセンサを点検します。
センサの清掃で改善した例は多くありますので、装置の理解とスキャンツールを使いこなすことで、絞り込みが容易になります。
